館長の美術旅行記V

・ドイツ編@・冬のオランダ

 昨年は3月にスペイン,7月はいつも通りの英蘭旅行だったが,まだ前者の旅行記は書けないまま.

 かねてからドイツ諸都市のオランダ・フランドル絵画巡りを計画していたが,今回は冬休みを利用して,西部をまわることにした.ケルン(ヴァルリャフ・リヒャルツ美術館)・アーヘン(市立美術館)はすでに訪問しているので,フランクフルトを拠点とし,夢にみたカッセル(またサスキアに会える!)と,レンブラント最後の弟子ヘルデルが手懸けた「キリストの受難」(英語ではPassionといいます)シリーズの大半を所蔵しているアシャッフェンブルグという都市を中心に巡ってみた.ドイツの小都市では市街または美術館が駅から2〜3km離れているところが多いので,急ぎ旅ならタクシーで回るのがよさそうだ.

○訪問した美術館は以下の基準で評価してみた.

・お勧め度 ★研究者向き ★★一度は行っておきたい ★★★リピートしたい *有名,ないし,きわめて重要な作品がある

今回は撮影旅行として,35mm一眼レフとデジカメを携行した. 絵画の写真撮影について


ル・メリディアン            (ふつーの部屋)



 
シュテーデル美術館をマイン川から望む              レンブラント「目を潰されるサムソン」のある展示室


 
レンブラント「ダビデとサウル」「東洋風の男性の肖像」(部分) ヘルデル「画家とその妻の肖像」     フェルメール「地理学者」


ヤン・ブリューゲル「ラトナとリシアの農民のいる風景」     パウル・ブリルの有名な風景画小品    ブラウエル「苦い薬」


ルーベンス「ディドとアイネイアス」                            エルスハイマーの有名な小祭壇画

 第1日

 午後1時半発のJALは満席というが,横が開いていたので楽だった.最近,手荷物は10kgまでという制限ができたそうで,小型スーツケースは持込を嫌がられるとのことです.フランクフルトには午後5時半着.空港から中央駅には地下鉄で15分ほど,駅前には地下街があります.今回の宿は駅から数分のル・メリディアン・パークホテル(となりはサボイ・チェーン).内装はデュッセルドルフ・サボイよりは劣るが,平均的で快適だった.着いてすぐにシュテーデルに向かう.

★★*  シュテーデル(美術研究所)美術館
 銀行家シュテーデルの寄贈によるコレクションを中心に1817年創設.

 マイン川の対岸に正面を河に面して位置し,中央駅からは南東方向で新しいつり橋を渡って徒歩15分足らずである.
 開館時間 火・金〜日曜は午前10時〜午後8時 水・木曜は夜10時までと遅くまで開いており,旅行者にはありがたい.

 月曜休館 入館料EUR

 総合ガイドブック(英語)EUR9.95 オランダ・バロックのカタログはなく,ルネサンス部門(-1550)の図録はEUR80
 パンフレットには案内図がありません.

入館料・ミュージアムショップともクレジットカード使用可(VISAMASTER

 収蔵品 17世紀オランダ絵画110点余 フランドル絵画35点 〜16世紀ネーデルラント絵画30点余

 重要作品 2002年に来日したレンブラントの「目を潰されるサムソン」を中心にレンブラント4点と,同じ部屋にハルスやヘルデルの自画像が掛けられている(部屋の壁も比較的明るいグレーのため映り込みが強かったし,雰囲気に乏しかった).フェルメールの「地理学者」,ホイエンやJ・ライスダールらのオランダ風景画,ルーベンスの部屋,ブラウエルの有名な風俗画「苦い薬」など.

オランダ絵画ではないものの,前レンブラント派に多大な影響を与えたエルスハイマーの小祭壇画も重要で,エイクの「ルッカの聖母」やボスなど初期ネーデルラント・ドイツ絵画の部屋までは,1時間少々では回れなかった.また,Nackt!(裸体)という企画展が開催されていたもののこれも巡れず.

オランダ・フランドル絵画は3F建の最上階の一部のみに展示され,展示スペースは意外と狭い.殆どの展示作品は洗浄修復が行き届いているのが新鮮で,J・ライスダールの一部の作品にはオリジナルの状態に問題があったが,その他の見かけ上のコンディションはかなり良好だ.

 写真撮影は企画展では勿論不可だが,常設でも原則禁止.ただし,事前に申し込んでEUR2支払えば(私の場合,なぜか免除してくれた)日付入りのイエローカード(許可証)を発行してもらえ,撮影可能である.だが展示室では監視員に出会うたび何回も提示を求められた.

小品は展示ケースの中に斜めに寝かせ並べて展示しているので,屈んで覗き込むのには良いが,これだと天井光の反射で写真は取りにくかった.

 8時にここを後にするが,日本時間の午前4時,目が疲れました.年ですかねぇ.

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